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コラム
もう一度、マットの上で 第1回「アシュタンガヨガって、体が硬い人には無理ですよね?」

「もう一度、マットの上で...」と一度でも思ったことがあるなら、それはもう再開の始まりです。このコラムは、かつてアシュタンガヨガに触れたことがある方、気になっているけど一歩が踏み出せずにいる方に向けて書いています。
「体が硬いから、アシュタンガヨガは無理」——そう思ったことのある方は、きっと少なくないと思います。実際、僕自身も初回クラスで一番よく聞く言葉のひとつです。まず第1回目は、その不安について少し丁寧にお話ししてみたいと思います。
"体が硬い"の正体
「硬さ」というのは、生まれつきの才能のようなものではありません。骨格や関節の構造、そして日々の生活習慣の積み重ねによってつくられているものです。デスクワークで縮こまった股関節も、長年の癖で固まった肩甲骨まわりも、昔やり込んだスポーツを止めて20年何もせずに今日に至ったという場合も、"性質"ではなく"状態"です。状態であるということは、いまからでもまさに「変わっていく」ということでもあります。
「柔らかい人がやるヨガ」というイメージが本当に日本じゅうに蔓延していると思うのですが、実際は逆です。硬さを自覚している人ほど、練習を重ねたときの変化をはっきりと感じられます。すでに柔らかい人には気づきにくい変化を、体感として得られるのです。
僕自身、ハムストリングスがガチガチだった
僕がアシュタンガヨガを始めたのは15年前。当時の僕は、前屈全般が大の苦手でした。特にハムストリングスの縮みがひどく、指先どころか、膝を伸ばしたまま前に倒れることが非常に苦手でした。
これは男性に本当によくあるパターンです。筋肉の性質や日常の動き方の違いから、男性の生徒さんの多くが同じところでつまずきます。もし今「自分だけこんなに硬いのでは」と感じているなら、それは決して珍しいことではありません。僕自身がそうだったので、断言できます。
ひとつひとつ積み重ねる、という感覚
アシュタンガには、決まった順番のポーズが存在します。ここだけ聞くと「厳格な型」を想像して身構えてしまうかもしれませんが、実際の練習で大切なのは、その型に一気に到達することではありません。ひとつのポーズ、ひとつの呼吸を、丁寧に積み重ねていくことです。
以前、生徒さんからこんな声をいただきました。
「ひとつひとつのポーズを積み重ねて進めていくので、自分のカラダに無理なく成長を感じられた」
この感覚こそ、アシュタンガヨガの練習の核心だと僕は思っています。今日できなかったことが、来月にはできるようになる。その小さな変化の連続を、自分自身で確かめていけるのです。
鍵は「軽減法」——できない形を、できる形に変えていい
そして、この積み重ねを可能にしているのが「軽減法(モディフィケーション)」という考え方です。
決まった型のポーズであっても、今の自分のカラダに合わせて、形を変えていい。無理に完成形を目指す必要はありません。ハムストリングスが硬くて膝が曲がってしまうなら、曲げたままでいい。手が床に届かないなら、ブロックを使えばいい。
実は、これがなかなか難しいスタジオも多いようです。以前、こんな声をいただいたことがあります。
「軽減法を用いれば、難しいポーズも進められる。他のスタジオや先生では、軽減法は許されなかった」
もし以前アシュタンガヨガを経験していて、「型通りにできない自分」に苦しくなってしまったことがあるなら、それはアシュタンガヨガそのものが合わなかったのではなく、"軽減法を選べなかったこと"が原因だったのかもしれません。
一度気になったなら、もう一度マットの上に立ってみませんか。体が硬いことは、始められない理由にはなりません。むしろ、これから変化を感じていける、その入口に立っているということです。
Tomohiko